産業医制度に関する厚生労働省令の改正について

産業医制度に関して、労働安全衛生規則等の厚生労働省令が改正され、平成29年6月1日より施行されます。産業医による事業所の巡視回数の規制が緩和される等の改正が行われます。

【厚生労働省Webサイト】産業医制度の在り方に関する検討会を踏まえた労働安全衛生規則等の一部改正について

【中災防Webサイト】労働安全衛生規則等の一部を改正する省令

【厚生労働省Webサイト】労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について(H29.3.31 基発0331第68号)PDFファイル

以下、改正内容の概要をご紹介します。なお、改正省令の原文は中災防のサイトを、改正の趣旨や詳細については施行通達を確認してください。

1 産業医の定期巡視の頻度の緩和
以下の3つの要件を満たす場合、毎月一回以上の定期巡視を2ヵ月に一回にすることができるようになりました。
1)事業者の同意
2)衛生管理者の巡視結果の情報の提供
3)衛生委員会で提供すると決めた、労働者の健康障害防止・健康保持に有用な情報の提供(具体例は、施行通達 第2-1-(1)-○5を参照してください。)
※施行通達で、2)、3)の情報に加えて、時間外労働時間が100時間を超えた者の氏名と超えた時間を提供することが求められている点に注意が必要です。

2 健康診断結果に基づく医師の意見聴取を行う際の情報提供
事業者は、意見聴取を行う医師から求めがあった場合、速やかに労働者の業務に関する情報提供しなければならない旨が定められました。施行通達には、労働者の業務に関する情報として、作業環境、作業態様、労働時間等があげられています。

3 産業医に対する長時間労働者に関する情報提供
時間外労働時間が100時間を超える者に対する医師の面接指導に関し、事業者は労働時間の集計を行う必要がありますが、その集計をした場合に、その労働者の氏名と、時間外労働時間100時間を超えたを時間に関する情報を産業医に提供しなければならないこととなりました。

4 特殊健康診断の異常所見者に対する医師の意見聴取の情報提供
特殊健康診断の異常所見者に対する就業上の措置に関する医師の意見聴取についても、医師の求めがある場合、労働者の業務に関する情報を提供しなければならないとされました。対象となる省令は以下の8つです。

・有機溶剤中毒予防規則
・鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号)
・四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)
・特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)
・高気圧作業安全衛生規則(昭和47年労働省令第40号)
・電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)
・石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)
・東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(平成23年厚生労働省令第152号)

以上が一連の厚生労働省令の改正内容です。産業医の巡視頻度については、どのような情報を提供すれば問題なく巡視頻度を減らせるのか、産業医とよく話し合って、慎重に決める必要があるでしょう。

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