「ストレスチェック指針」について
少し古い話になってしまいますが、今年の4月15日に改正労働安全衛生法で新たに定められた「ストレスチェック制度」に関して、省令、告示(看護師、精神保健福祉士が実施者になるための研修に関して定めている)、指針が公表されました。
改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の具体的な運用方法を定めた省令、告示、指針を公表します
事業者がストレスチェックを行う際の詳細を定めているのが、指針(心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)です。(リンク先はPDFファイル)
指針には、様々なことが記載されていますが、一番のポイントは目的ではないでしょうか。
少し長くなりますが、該当箇所を引用します。(pp1-2)
事業場における事業者による労働者のメンタルヘルスケアは、取組の段階ごとに、労
働者自身のストレスへの気付き及び対処の支援並びに職場環境の改善を通じて、メンタ
ルヘルス不調となることを未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発
見し、適切な対応を行う「二次予防」及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復
帰を支援する「三次予防」に分けられる。
新たに創設されたストレスチェック制度は、これらの取組のうち、特にメンタルヘル
ス不調の未然防止の段階である一次予防を強化するため、定期的に労働者のストレスの
状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気
付きを促し、個々の労働者のストレスを低減させるとともに、検査結果を集団ごとに集
計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、
ストレスの要因そのものを低減するよう努めることを事業者に求めるものである。
つまりストレスチェック制度は、
一次予防(労働者によるセルフチェック)
集団分析を通じた職場環境改善
の2点を目的に実施されるのです。事業者が個人の結果を知ることができないことや、労働者にストレスチェックの受験義務がないことなどは、セルフチェックが目的だからでしょう。
また、職場環境改善については、今のところ努力義務にとどまっていますが、今後は義務化を目指すという動きがあるようです。
ストレスチェックを導入するにあたって、判断に迷うときには、この2つの目的に返って考えるとよいのではないでしょうか。
また、その他に留意すべき点には次のようなことが挙げられるでしょう。
実施体制を整える際には、衛生委員会による審議が重要であること
法律は今年の12月施行で、その後1年以内にストレスチェックを実施すること
1については、省令の第 22 条において、衛生委員会等の付議事項として「労働者の精神的健康の保持進を図るための対策の樹立に関すること」が規定されています。
そして、具体的な内容としては、指針の3ページから5ページまでに記載のある通り、11の項目に関して調査審議が必要です。具体的には、実施体制・実施方法、不利益取扱いの防止などの事項を調査審議し、規程を定めることとしています。
2については、施行日から1年が経過する日である、2016年11月30日までにストレスチェックを実施しする必要があります(結果通知や面接指導までの実施までは含まない。Q1-1を参照)。
以上、簡単ですが、ストレスチェックの概要をご紹介しました。
来年の自社の健康診断の時期に合わせて実施する事を考えると、今年いっぱいは情報収集、来年初めから2-3ヵ月の間に衛生委員会での調査審議を行い、その後実施というのが、一般的な対応になるように思います。
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