【労災保険】労働者災害補償保険の障害等級見直しについて

平成23年2月より、労災保険の障害等級見直しが行われることとなりました。

 
 
見直しが行われるのは、外貌に傷痕が残った場合の障害等級についてであり、その内容は、
 
1.従前は男女で異なる扱い(女性の方が等級が高く、補償が厚い)だったものを、条件の良い方に引き上げることで、同じ扱いに改める
 
2.従前は2段階しかなかった等級区分について、その中間にあたる等級区分を追加することによって、3段階の等級区分で認定する
 
の2点です。
 
 今回の見直しは、平成22年5月27日の京都地裁判決を受けたものです。
 同判決では、男女間に差を設けることは憲法判断の対象となるとした上で、障害等級の策定には「厚生労働大臣の比較的広範な裁量権」を前提に、その差別的取扱いの「合理的な理由」が求められ、「その差別が策定理由との関連で著しく不合理なもの」でなく、厚生労働大臣に与えられた「合理的な裁量判断の限界」を超えていない場合には合憲であるとしました。
 そして、結論として、策定理由については「根拠がないとはいえない」としつつも、本件全証拠や全趣旨を省みても、上記の「大きな差をいささかでも合理的に説明できる根拠」は見当たらず、上記策定理由との関連で著しく不合理と判断しました。そして、国は控訴せず判決は確定しました。
 
 この判決を受けて、厚生労働省の専門検討会は、障害等級のあり方について検討をした結果、近年の雇用社会における男女平等の進展などを勘案した結果、現在の状況で男女に差を設けるべき、やむを得ない理由はないとして、障害等級の見直しを決め、今般その内容が明らかになったのです。
 
 地裁判決を受け入れ、その後の検討もさほど時間がかかっていない点を見ると、障害等級の見直し自体は、厚生労働省内においても受け入れ難いものではなかったのかもしれません。いずれにせよ、今回の判断を素直に歓迎したいと思います。
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